「法務局における自筆証書遺言書保管制度が始まります(5)」の続きです。
受遺者と遺言執行者を記入したら通し番号を書きます。1人しかいなくても必ず記入します。
引き続いて死亡時の通知対象者を記入します。実はこの「死亡時の通知」はまだ運用されていません。令和3年度以降のに本格運用予定とのことです。
遺言者が死亡したことを法務局(遺言保管官)が知った場合、ここに記載した受遺者・遺言執行者または推定相続人(遺言者が死亡すると法定相続人になる人)に遺言書が保管されいてることを通知してくれます。
ここで注意が必要なのは通知対象になるのは1人だけだということです。つまり、受遺者・遺言執行者から1人、推定相続人から1人の合計2人を通知対象者とすることはできません。
受遺者・遺言執行者は既に他の用紙に記入しているのでそれぞれに割り振った通し番号を記入するだけです。
推定相続人の場合は遺言者との続柄とともに氏名と住所を記入します。推定相続人の
続柄は限定されていて、列挙されている、配偶者、子、父母、兄弟姉妹以外では祖父母(曾祖父母…)、孫(曾孫…)、甥姪などです。ただし、父母や子、兄弟姉妹が生きていれば祖父母、孫、甥姪は推定相続人ではありません。
この死亡時の通知は、法務局における自筆証書遺言書保管制度の中でも特に画期的な仕組みだと思います。遺言書の王様とも言える公正証書遺言書も、公証役場で検索しなければ存在そのものが埋もれて無意味になります。
一方、自筆証書遺言書保管制度における死亡時の通知は、遺言者の死亡により指定された者に対して「遺言書が保管されてますよ!!」と自動的に通知してくれる仕組みです。
法律制定時の国会答弁(衆院法務委員会)を読むと、現在システムの改修中のはずなので1日も早く死亡時の通知が本格運用されることに期待しています。
■記入例1(受遺者・遺言執行者のうち通し番号3番の者を通知対象者にした場合)
■記入例2(推定相続人である姪を通知対象者にした場合)
「法務局における自筆証書遺言書保管制度が始まります(7)」に続きます。